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2009年01月12日

生活保護と家族

 昨年の暮れから、また今年に入ってからはまだ10日ほどしか経ってもいないというのに、生活保護を受けようとする人びとが急増しています。
 昨今の大不況と、製造業を吹きあるリストラの嵐のせいだと思われますが。

 皆さんからは「家族がいるのに、生活保護を受けることができるのか?」であったり、「ローンを払っているのですが、家がある人は、生活保護を受けられないのですか?」といった質問が非常に多く寄せられています。

 ここでは、生活保護と家族との関係について話しを進めていきたいと思っています。
 
 現在の生活保護法(1950年法律144号)は、憲法25条の「生存権」を具体的権利として保障するため、第2条から第4条までの3つの基本原理を軸に、第7条から第10条までの4つの原則とを合わせて構成されています。
 しかし第1条で「すべての国民に対して最低限度の生活を保障する」と明記されてはいるものの、第4条「保護の補足性」との兼ね合いから、まず親族による扶養という家族内自助原則が大前提となり、さらに第10条「世帯単位の原則」では、世帯を一つの単位として具体的な扶助が行なわれることになります。

 これらは、生活に困窮した際、自助や共助の場合は言うまでもなく、公助を行なう場合にも、「まずは家族のなかでの助けあい」という考え方が前提にあります。

 では従来生活保護法制度をも含む社会保障・社会福祉政策の中で、「家族」はいかなる位置付けにあったのでしょうか?

 1970年代半ば以降、「福祉見直し」の流れの中、依然として高かった三世代同居率を背景に、当時は家族を「福祉における含み資産」 として位置付けていました。
 福祉関係3審議会合同企画部会が「今後の社会福祉のあり方について」(1989年3月)のなかで、「お互いに無理を重ねる介護から、在宅サービスを適切に利用する介護」への転換を唱え、また1994年12月には高齢者介護・自立支援システム研究会から出された「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」のなかで、第1章「高齢者介護をめぐる問題点」では、家族にとって高齢者の介護が大変重い負担であることや、家族による介護が専門職が行なうものと比較して、効率的ではないといった視点、さらに家族による介護放棄や虐待の問題を取り上げ、高齢者の人権擁護の視点からも、過重な家族介護による危険性を示しています。

 つまりここでの「家族」の位置付けは、家族形態が縮小化・多様化していくなかで、これまでのような家族の自助機能に期待し過ぎることへ危惧する内容になっています。

 また同じ時期から、高齢者個人を対象とするような報告が相次いで報告されます。
 
 1993年6月には、経済企画庁が「生活者優先の長寿福祉システム研究会報告書参加型の長寿福祉社会に向けて」がだされ、「基本的な考え方」と題する項目のなかで、高齢者にとって多様な選択と、利用者の意思を積極的に採用するものが提案され、さらに1995年7月には老人保健福祉審議会がだした「新たな高齢者介護システムの確立について(中間報告)」のなかでも、「高齢者自身による選択」という節を設け、「…高齢者が自らの意思に基づいて、利用するサービスを選択し、決定することを基本に置くことが重要である」ことを提唱しています。

 そして最近の高齢者と家族をめぐる政策動向では、1995年7月に社会保障制度審議会がだした「社会保障体制の再構築(勧告)安心して暮らせる21世紀の社会をめざして」(95年勧告)のなかで、「…世帯単位中心から個人単位に切り替えることが望ましい」とし、高齢者に対する福祉施策だけではなく、全国民の生活問題を対象とした「個人単位」の社会保障政策を提案しています。

 これはある家族のモデルを対象に、それへの支援・援助というものではなく、個人単位に、言い替えるならば家族員個々に対しての保障を充実しようというものです。

 これまでの「家族」をめぐる政策動向を整理すると、社会のなかで家族が果たしている一定の自助機能にかなり依存する形で政策運営を行なってきたものが、家族形態・機能の多様化・縮小化から家族重視の方向が見直され、別の対応を迫られている様子がわかります。

 とりわけ高齢者の介護等について、家族にこれ以上の負担を強いることが家族の崩壊をも引き起こしかねない状況であることを認識しつつも、公的なサポート体制が不十分な状態のなかで、次に個人を対象とした施策を迫られている、という図式が成りたちます。

 こうした家族の自助原則に依存した「家族政策」から「個人」を対象とするような95年勧告の流れをどう評価するのかについては、別の機会に譲るとして、ここでは上記の流れにある「家族」または「世帯」の位置付けについて、生活保護法からのアプローチを試み、「個人保障」なのか、家族を単位とした救済なのかについて考えていきたいと思っています。

posted by タムドク at 15:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 生活保護 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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